店主のよしなし帖

大正時代の遊郭「鯛よし百番」でディナー

飛田新地の中にある元遊郭の料亭「鯛よし百番」

大阪西成区、飛田新地の奥にそびえたつ遊郭「鯛よし 百番」

いまも現役!飛田新地

関西の人なら「飛田新地」という名前くらいはご存知なのではないでしょうか。

大正時代から続く、日本最後の遊郭と呼ばれる、広い風俗街。

島原、吉原などのいわゆる「遊郭跡」ではない。現在もバリバリ毎日営業しており、特に夕方以降は観光の女性が気楽に遊びに行けるスポットではないのです。

 

薄暗くなり提灯がともるころには、店の入口に、ピンクのライトに照らされたお姉さん(年齢はさまざま)たちが鎮座され、お客さんを呼び込みます。

お仕事なので、真剣。なので「女性観光客」なんかはもっての他。速攻冷たい視線で追い出されます。

 

まあ「飛田新地」についてはいろいろなサイトに出ていますので、自由にご確認下さい。笑

 

さて、いざ鯛よし百番へ

今日の目的は歴史的建築物見学と打ち合わせですから、予約してくれたKURYU-SANKO-DOオーナーも、飛田のピンクのお姉さまたちに後ろ髪をひかれることなく

無事に料亭「鯛よし」に到着しました。

大阪西成区「鯛よし百番

花魁や遊女たちが暮らしていた面影ありの異彩を放つ豪華絢爛な内装

初めて訪れた百番、外観も派手ですが、内装は想像をはるかに超えるものでした。

大正時代の古い遊郭。当時の豪華な装飾や極彩色、室内はほぼ壁画で埋められ、日光東照宮あり、三条大橋あり、とにかく派手な立体装飾が、所狭しと施されています。

 

それらが約百年の時を経て、時代や火事に翻弄された遊女たちの苦労や怨念、男たちの性欲、お金と煩悩etc… などがチリとなりホコリとなり積み重なり、豪華な装飾に独特のニュアンスを加えています。

 

訪れる前はなんとなく、蜷川実花のさくらん、千と千尋の神隠し、の雰囲気かなーと思っていましたが、もっと、人間くさい、カオスな、まるで

鈴木清純の世界の様でした。

 

写真より動画でどうぞ。(女将編集)

(全体に漂うやさぐれ感を表現して、藤佳子のネリカンブルースを挿入してみました)

動画にあった、すてきな坪庭にそびえたつ岩2つ。

敷地内に立派だなあと感心しながら、目線を下の紹介板にむけると「そびえたつ岩と丸い岩は男女のシンボルです」というようなことがご丁寧に書いてあり。

徹底しておりますね。流石。

 

お食事は普通の美味しいすき焼き

各部屋ごとにテーマがあり、テーマに沿った装飾が施されています。一部屋一部屋がパビリオンのようになっています。

実際に遊郭として使われた部屋なので、なんともいえない独特の空気が漂っていますが、

現在は普通に料亭ですので、忘年会や女子会なども開かれているようです。

 

ちなみに私たちは「舟」の間でしたので、和室の壁に本物の舟を一部埋め込んであり、なんとも立体的な床の間。

入口には血しぶきにしか見えない水しぶきの襖絵が書かれていました。

 

さすがに日本人の学生さんには敷居が高いのか、バイトさんはすべて外国人でした。

お料理は普通に美味しかったです。が空間に圧倒されて味はあんまり覚えていません(オーナーすみません)。

 

「鯛よし 百番」を訪れて

お寺でも、○○邸でも、古い建築物は日本各地に残されているけれど、その時代の権力者や富裕層により建てられた立派な建物は、お金をかけて職人の技を駆使し建造された、芸術としての価値ある建物。

でもこちらの遊郭は、薄皮一枚で必死に飾り付けてある豪華絢爛さが、妙に人間らしくてリアルで。

時代が激しく変わっても、人というものはそれほど変わっていないだろうと思わせられました。

 

とにかく行ってみないとわからないと思います。笑

建物自体とっても古いので、ご興味のある方は、無くならないうちにぜひどうぞ。

 

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