店主のよしなし帖

きつね坂のたこ焼き屋さんがついに・・・—消えゆく昭和(2)

きつね坂のたこ焼き屋さん

昭和44年(1969年)の忘れてはいけない出来事

今は昔、1969年。昭和真っただ中のあの時代。

「サザエさん」が放映開始し、人類が初めて月面へ着陸したその年、忘れてはいけない出来事がここ京都でもありました。

京都市左京区の通称「きつね坂」登り口付近に、とある お店の灯がともりました。

「きつね坂のたこ焼き屋さん」(屋号不明)

そこから49年間、松ヶ崎・岩倉周辺の地元民に愛される名店となるのです。

消えゆく昭和

新年講習第2弾!

オーナーが今日もハイテンションでやってきた。

「新年講習第2段!あっと驚くためごろー!※1   モーレツ!※2 に旨いたこ焼きを食わしたる!」

※1 あっと驚くタメゴロー (1969年の流行語:テレビ番組「巨泉・前武ゲバゲバ90分!」の中でハナ肇がいった)

※2 オー、モーレツ! (1969年の流行語:テレビCMから流行した)

https://nendai-ryuukou.com/1960/1969.htmlより抜粋

 

「うまいたこ焼き・・・あ、“蛸安”ですか?それとも“蛸虎”ですか?」

「それを言っちゃーおしまいよ!※3  ええから黙ってついてこい!」

※3 それをいっちゃー、おしまいよ (1969年の流行語:映画「男はつらいよ」の寅さん語録)

https://nendai-ryuukou.com/1960/1969.htmlより抜粋

 

と、出かけることになりました。

ちなみに新年講習第1段はこちら。

「仕事始めの打合せ」と書いて、「松竹新喜劇」と読む

 

きつね坂たこ焼き屋さんが、49年の歴史に幕を閉じた日

奇をてらわない、たこ焼きらしいたこ焼き

世代が違えど、京都の北の方の人たちはだいたい一度は食べたことのある、きつね坂ふもとのあのお店。

流行りのカリカリでもなく、ジャンボでもなく、「これこれ!」という味のたこ焼き。

いつも毒舌で楽しませてくれる、ビューティーおかみさん(80代)。

なんと、今日(19日)で営業が終了という。なんと!

きつね坂のたこ焼き屋さん

思い出のお店の最終日。地元でのビッグニュース

どこで聞きつけたのか、耐えることのない行列ができていた。老若男女、みな、地元の人。

ヤンキー時代に溜まっていたという人から、高校生の時分に学校帰りに買い食いしていたという人、生まれたときからあったという若い子。今日は混んでいるのでと、おかみさんに労いのプレゼントだけ渡して帰るおじさん。

そこにいる全員が、日々の思い出に寄り添ってくれた このたこ焼き屋が閉店することに、なんとも、寂しかった。

 

材料の高騰や、おかみさんやご主人のご高齢化、時代の変化など、理由を聞くと閉店はしかたがないのだけど、それでもやっぱり、長年きつね坂のふもとにあった、このお店が無くなるのは寂しい。

 

40分くらい待ってようやくGET

きつね坂のたこ焼き屋さん

「この材料がなくなったら終わり」と言っていたおかみさん。

私のあとはあと何人いけるかな、、、という量でした。ぎりぎりセーフでGET。

オーナーイチオシの“素たこやき”(ソースもなんもなし)と、通常バージョンの2パックを分けて頂きました。

 

49年間も、長らくお疲れさまでした。

 

オーナーとたこ焼き屋さんの思い出(省略)

「あ、そうそう、オレの若い時はな、ここらを例のケンメリで流してな・・・」

「だから・・・その話はもう、結構です・・・(-“-)」

「今日から俺は!!」・・・今日まで俺は!!?

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