NISHIKI-錦とは、絹織物の最高峰美術
展示内容: 手織り錦織を使用した小物や帯 (展示・販売)
アーティスト: 錦の伝統織物「光峯」 龍村光峯氏、龍村周氏
開催日:2017年11月9日(木)〜11月19日(日)
時間:10:30〜18:00
場所:KURYU-SANKO-DO(くりゅうさんこどう)メインスペース
錦織の見所は、複雑で立体的な組織構造と多彩さ
錦。耳にしたことはあるけれど、錦が何かと言われると、パッと的確に答えられる人は少ないかもしれない。
錦は
- 「錦秋」「錦鯉」など、色とりどりで美しいという意味
- 「錦をかざる」「錦をまとう」など、美しく立派であるという意味
に用いられる。
しかし、そもそも「錦」とは、織物の名前であり、刺繍や後染めの技法を使わず、多彩な先染めの絹糸や金銀糸用い、地色や文様を織りだした高価な絹織物を意味する。
普段着物を着ることが少ない私たちにとって、絹織物に触れる機会はあまりなく、WEBで「錦織(にしきおり)」を検索しても、かの有名なテニスプレーヤーばかりが登場する。笑
錦を追求した織物美術の龍村光峯
この曼荼羅は、刺繍ではない。この立体感を織で出せるのが、錦の凄さであり、織物美術『龍村光峯』の技術である。
基本的には他の織物と同じく、経糸と緯糸で織り進めていくものだが、それを基本にもっと複雑で精巧な組織で織っていくことで、このような刺繍のような立体感が生まれる。
「組織」がよくわからない人も、次の写真を見れば凄さは伝わるかとおもう。
織る人が頭が痛くなるような複雑なデザインと構造。
この完成を、意匠の段階から計算されているのだから、ただただ、すごい。
金色は何十色も存在する
「金色って、どんな色?」
金は一色、と思ったら大間違い。金色だけで何十色も織り分けていくのが『龍村光峯』のこだわりだ。
銀糸(シルバー)は、光の加減で黒っぽく見えてしまうため、こちらの工房では使用しないそうだ。
銀に見えるのは、限りなく銀色に近い金糸。
様々なデザインが溢れる現代では、美しい意匠に目が慣れてしまっているかもしれない。
こちらの帯は葡萄と唐草をテーマにしたもの。
遠目ではその精密さは分からない。
『白を基調として唐草模様の上品で素敵な帯ですね』という感想かもしれない。
しかし近くで見ると、この複雑な金糸のグラデーションがなんとも素晴らしい。
当たり前のことではあるが、グラデーションはパソコンのようにボタンひとつで出せるわけではない。機織りの職人さんが、設計図通りに細かく細かく金糸を変えなくてはいけない。
こちらの錦織りも、相当拡大してもなお、こんなに細かく、複雑。これほどの色が使われていても、遠目で見ると上手く混ざり合って上品な華やかさと奥行きを醸し出す。
まとめ つまり錦織は織物の美術品!
色を染める人もすごい、金箔を切って糸にする人もすごい。指示通りに織る人もすごい。
そして、これら錦織作品を、何もないところから頭の中で組み立て、デザインし完成までまとめ上げる龍村光峯氏、龍村周(あまね)氏は、やはり世界屈指のアーティストと言えるであろう。