アーティスト: Kentarrow Kawata (photographer)
開催日:4月30日(日)〜5月7日(日)
時間:13:00〜19:00
場所:KURYU-SANKO-DO(くりゅうさんこどう)メイン&階段スペース
神戸って、綺麗な観光地だけじゃないところが更に好き
神戸を撮り続ける地元フォトグラファー初写真展
▲黄昏時の明石海峡大橋(Kentarrow Kawata)
東山の新緑の美しい、ゴールデンウィークに開催する展示は、「ぼくの好きな神戸」。オール神戸の写真展です。
京都の人間にとって神戸は、同じ関西として二つ隣に位置しているので、なんとなく親しみがあり、なんとなく憧れでもある。ライバルと言うより、’街に海と山があって素敵だな。’という印象を持っている人が多いのではないか。少なくとも私はその一人だ。
フォトグラファー川田氏は神戸在住31歳。撮影歴は10年ほどだが、学生時代からメカの改造が趣味だった!という、探究心の深い彼らしく、一つ一つの写真の完成度が高く、美しい。
今回も、展示写真を選ぶのに苦労しているそうで、開催まで一月を切った今でも”200枚までは絞れた!”と話していた。笑
▲プードル(Kentarrow Kawata)
彼の写真のスタイルは、「飾らない街の写真」。ただ美しい写真、魅せるための写真、奇をてらった写真のどれでもない。
今回のテーマを尋ねると、
「もともと地元の写真を撮ることが多いのだけれど、神戸ってポートタワー、異人館、元町、おしゃれなお菓子屋さん、みたいなガイドブック的なイメージの他に、すごく下町っぽかったり、俗世的というか、人間的というか、いわゆる美しいと”される”もの、と、そうでないと”される”ものが混在していて。でもそれも含めて、この街が好きで。
22年前の阪神大震災、がぼくにとって”神戸”の原点かもしれない。初めて写真展をひらくなら、そこから一緒に育ってきた神戸をテーマにしようと思った。」
と語ってくれた。
阪神大震災が起きたとき、ぼくは9歳だったんだ。
神戸といえば、22年前に起きた阪神大震災の被災地でもある。
全国的に衝撃的だったこの大震災。川田氏は当時まだ9歳だったという。
古い町並みの中に商店街や靴工場が立ち並んでいた街を大きな揺れの次に襲ったのは、火災だった。倒壊した木造家屋に、靴の接着剤などの材料。
消防隊が到着しても、為す術がないまま、町ごと燃えた地区もある。
幸い、自宅のある地域や、親戚、友人には被害が少なかったとはいえ、9歳の彼にとってそのショックは計り知れないものがあった。
「地震の揺れはもちろんだけど、何が何だか分からない恐怖が大きかった。一時避難した公園で東の空が赤く染まって、やっと日が昇るかと思っていたら、子供の作文用紙の燃えかすが風に乗って飛んできて。
「火事が起きているんだ。」
と知った。ラジオからの情報は曖昧で混乱していたし、大人たちも気丈に振る舞っていたけど、今思えば子供以上に、怖かったんじゃないかな。
翌日か翌々日の夜、家族で父の友人の安否確認に兵庫区にあった避難所まで行った。街灯も点かないまま、亀裂だらけの道、傾いた電柱、垂れ下がる電線、そして倒壊した数々の家々。どれが真っ直ぐで、どれが斜めか分からなくなった街は、トリックハウスさながら、まさに”ひっくり返った”って感じだった。
水もガスも止まって、不便な生活だったけれど、連日テレビでの放送を見ていて、全く自分たちが”被害者”という感覚はなかったな。子供ながらに、何か神戸の力になりたいと思ったのは覚えている。その感覚は今も同じ。」
その後神戸は復興に向けて立ち上がる
▲神戸の街(Kentarrow Kawata)
地震で崩壊した神戸。絶望の後、復興への並々ならぬ努力を目の当たりにしながら、川田氏は成長する。
「がんばろう神戸」のスローガンのもと、街が一丸となって、工事が進み、少しずつ神戸の街は以前の姿を取り戻し、あるいは美しく生まれ変わった。
当時小学生だった川田氏は、自分の成長と神戸の復興を、無意識に重ねてしまうという。
「ちょうど震災の少し前に、3年生で習った”わたしたちのまち 神戸”が、突然、ひっくり返って、その頃はじめて、自分が暮らす”街”としての神戸が身近に感じたのかもしれない。」
「実は震災の少し前、年末に友人を亡くしていて。3年生の僕にとっては、というか、大人にも、訳がわからない、とんでもないことが、立て続けに起こったんだけど。神戸が他の地域、日本中世界中から助けてもらって、今の神戸になったように、色んな人に支えてもらって今があることとを、どこか重ねている部分はあると思う。」
「少しずつ復興していく神戸の街で、自分も育ててもらったから、なんか、神戸という街が、同朋というか、擬人化してる部分も大きい。それでもなお、震災が残した傷は街の各所で見受けられるから、忘れようにも、忘れようがない。それをひっくるめて神戸なんだ、って。」
「神戸を撮っている時はどうしても、気づいたら頭のどこかにそういう感覚があって、それがとても心地が良いというか、安心するというか。他人と思えない感覚。街だから、他”人”じゃないんだけどね。」
神戸への愛情のこもった写真展。ぜひ行楽ついでにお立ち寄りください。
▼川田健太郎氏の他の写真▼
【Flickr】
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【Instagram】
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